ガウワウバウ1003
「えっ?(こんな素敵な力作)貰っていいの!?」こっちがお世話されてるのに! というわけで今年も当然のようにAINAさんから頂戴した、二つのシリーズを股に掛けたスピンオフ、題して「ガウワウバウ1003」です!みんな待ってたお愉しみ!! な・ん・で・す・が、もうお約束の恒例行事などと安易に言えない気がしてならんのです……だってこのシリーズ、年々増えてるんですよ…………ページ数が!! と掲載月に合わせて怪談ぽく言ってみましたが、読んでもらえれば納得のボリューム(主に登場人物数)に求血奇譚シリーズファン、歓喜のサービスコマつるべ打ちの特別編になっております! 先ほど登場人物数と書きましたが、回を重ねるごとに退場者が増えていくガウ~に対して、文字通り血を求め、繋がりを求めるかのようにAINAさんの引き出しから続々登場するキャラたち、殊に光の勢力(?)側のイケメン総登場!の流れには長年積み重ねたシリーズにのみ許されるカタルシスさえあります…ていうかそんな美味しいシチュここで消化していいんかと笑 いやたぶんAINAさん的にも何かしらの発散になってるのかもな…とわたしの悪い分析癖が出てきそうになるぐらいには、出演されてる皆さんの笑顔(じゃない「店員」もいますが笑)がめっちゃ美しくて「うわもったいねえ!」って思わず口に出たわけです。 本シリーズ初登場で花を添えてくれた(というか場を回してくれた)、ひなたさんあかりさんも良いコンビ。 半面ガウ側は姉妹二人のみで劣勢は明らかなんですが笑、過酷な本編の裏でも友人がどんどん増えてると思えばその事実だけで十分お釣りがくるのです……たぶん光も薬も「神さま」の力をそこまで有難いとは考えてないだろうけど、それだけに人の縁の尊さは身に染みて理解している―そんなささやかな描写も嬉しい作者様のご配慮でした。 あとはもう、わちゃわちゃした各人各様のやり取りを読んでくださる皆様が楽しんでもらえればと思います。 さて。ここからは個人的な考えというか要望なのですが。 生活環境の激変から3DSに向かう時間が大幅に少なくなっており、今後の更新も難しい状況になっております。 現在動かしているシリーズものはいずれ何らかの形で完結させる気はありますが、極端な話この一年後、本編がなにも進んでいない事態も十分考えられる有様です。 来年以降も、質量ともに充実しているAINAさんの漫画を受け取らせていただくに足る活動ができているかと自問すれば、今回をもって先方のご好意に甘えるのは一旦最後にしたいと考えざるを得ないのです。 願わくば今後、求血奇譚シリーズの枠組みの中で、わたしも一読者として番外、共演、その他諸々、楽しみたいと思っています。 もちろんこちらの一方的なお気持ちの表明なんですが、AINAさんにこれまで送っていただいた漫画、イラストの数々、ひとつひとつをこれからも変わらず、末永く愛で続けるにはそろそろその物量が両手からこぼれそうなので笑、勝手ではありますがここで一区切りとさせてください。 なんだかお別れのあいさつみたいになってますけど笑、ネット上でこれまでと変わらぬお付き合いは是非続けさせてください。今までコミック工房から次のレベルに上がった方々は見送るつもりで離れたのですが、最後まで工房で長編を描き続けた友人として、尊敬の念は尽きないからです。 と、しんみりした感じになっておりますが、最後に一つだけ。 蛸之壺バウム、そんな美味いの?笑
ガウワウバウ オーバーラップ13
ガウワウバウ オーバーラップ12
ガウワウバウ オーバーラップ11
ガウワウバウ オーバーラップ10
ガウワウバウ オーバーラップ9
ガウワウバウ オーバーラップ8
ガウワウバウ1002
皆様、お待たせしました色んな意味で(主に手の遅い俺のせいですごめんなさい) 夏の気配が近づくころ、奴ら(カラーギャング)は帰ってくる…!! もはや年に一度の恒例行事 今年で実に4回目、『求血奇譚×ガウワウバウ』の新作、AINAさんからお預かりしました!! そう、もはや作者さまから筆者への誕プレの域を越え、回を重ねるごとに両者の世界観が深く関連付けられていく大河連作と化しております。 本作『1002』でもさらに双方からの登場人物が増え、賑やか且つスタイリッシュ落下アクションが炸裂! 下は小学生から上は年齢不詳の吸血鬼まで、賑やかな中にもお互いを思い遣るやり取りが随所に散りばめられた、作者さまの優しい視線が感じられる15P(すごい)となっております。 お話のとっかかり自体は子供たちが共演した、わたしが描いたイラストとのことですが………歳を取るって、残酷なことなのね…要するに忘れてやんのマルマァク…平謝りですわ… またその賑やかな空気を壊すことなく、こちらの進行上不在となった人物を、さりげなく不在のままにしてくれるとこ、泣けました… まあこっちの世界線ではピンピンしてるんですけどね(笑)、ワカランケド さらに背景となる西風市の各舞台も拾っていただいた上、物語にもしっかり組み込まれている自然な流れにも注目してもらえればと思います。個人的なMVPは掃除のオジサン(笑) いや作劇上大事なのよこういう人! 毎度内容について細かく語れないもどかしさを抱えつつ、難しいことは抜きにしてただただ面白い漫画なんで何度となく読んでもらえれば…そして、できればAINAさんに直接感想を届けてくだされば、と思います。 工房ギャラリー投稿時代と較べると、最近はやり取りもそう多くはないですし、それでなくともリアルを生きる以上この先どうなるかなんてわからないのですが、今こうして創作物での交流を持ってくれるAINAさんにはあらためて感謝です。ありがとうございました。
ガウワウバウ オーバーラップ7
ガウワウバウ オーバーラップ6
ガウワウバウ オーバーラップ5
ガウワウバウ オーバーラップ4
ガウワウバウ オーバーラップ3
ガウワウバウ オーバーラップ2
ガウワウバウ オーバーラップ1
ガウワウバウ シリーズ
沼サー シリーズ
タッコマン Overcome1
タッコマン 海の下のエゴイスト篇
タッコマン 愛・おぼれていますか篇
ガウワウバウ1001
今年(2021)も折り返しに近付いた今日この頃、過っ疎過疎の当サイトを訪れてくれた奇特なあなた、お待たせしました!ウチの目玉コンテンツ、ガウワウバウ(本編)の続きが到着しましたよー! AINAさん、お疲れ様&ありがとうございます! タイトル画からラストカットまで超キュート! おかげでマルマァクの邪魔なカットを描かずに済み(略)
まだまだ続く元気のおしゃれ大作戦、今回はついに外(アパレルAINA西風駅前店)に舞台を移し、さらに新たな出会い(読んでからのお楽しみ)もあるのです。
一見お気楽なオフの風景、でもその裏には相手を思いやる心情があったり。丁寧な描写の積み重ねが織り成す人物模様、相変わらず流石です。もちろん漫画としての落としどころもバッチリw 西風市のカラーギャングとは奴らのことだ!!(違)
一方マルマァクの方の外伝はそろそろ終盤。来年はどうなるか分かりませんが、AINAさんが描いてくれた「可能性」の世界、三姉妹もちょっぴり救われている気がします。本当にありがとう。
いやでも、かわええ・・・来栖刑事(言っちゃった)
ガウワウバウ1000
昨年の誕生日から早一年…もう一段階老けたマルマァクに、今年も素敵な贈り物が届きました! 3DS漫画制作の盟友であるAINAさん作、「ガウワウバウACT 1000」!ついに連作は4ケタの大台に(笑)
前作「ACT 999」で三ツ頭家に遊びに来てくれた可菜子ちゃんのお宅、鳥居家に、今度はウチの娘たちがお呼ばれした続編です!今回も女の子同士の縁ということで、お着替え(着せ替え?)要素がふんだんに。やっぱり可愛いとキラキラは正義なんですね。そんな和やかな風景に、長男と長女の少し真面目な、沁みるお話。これがAINAさんの優れたバランス感覚。お遊び的な短編にもしっかり背骨を通す姿勢。見習いたいものです。 …と思ってたらあのオチですよ。え、作者さま曰く「それ」が描きたかっただけ?他は全部前フリってこと?……オッケー!!オールオッケーだよ!だってキュンは正義だから!!姉貴退治されてるけど(笑)
素人漫画の個人HPには、どうしてもある種の寂しさが付きまといます。 どこを開いても、なにを読んでも同じ作者の漫画だけ(笑) それはそうだろとしか言いようがないのですが、本棚に並べる漫画は、多様で、雑多で、にぎやかでありたいと常々思っている自分には、大変な労力で完成する漫画を寄稿してくださるAINAさんの存在はとてもありがたいのです。 タイトルからラストの署名等、細部に至るまでこちらのフォーマットに則っていながら、内容はしっかりご自身の趣味嗜好(笑)で固める。作者さまの気配りと、一創作者としての個性が共存するコラボのお手本のような作品です。どうか俺と同じく、皆さまが楽しんで読まれますように。
AINAさん、ありがとうございました。来年は1001回目、よろしくね(笑)
タッコマン 襲撃篇
当HPにも掲載させていただいているぐるりちきんさんのバレンタインイラスト、そのお返し漫画です。 こんな上手い人に名指しで絵を贈っていただくなんて、本当に光栄です。これ以外にもね、凄いイラスト沢山描いてもらってるんですよ。いずれご本人の許可を得て公開できるといいなと思っております。
元々「工房ギャラリー」でぐるりちきんさんが始められた企画が製作のきっかけなので、企画主様のリクエストに応えるカタチで10Pほどの「タッコマン」新作を描いてみました。 そして今回は「お返しである」ことにこだわって、当該企画に参加された投稿者さん向けの限定公開になります。が、他の参加者さんたちにも な ぜ か 好評な海之家 青と愉快な仲間たち。きっと温かく彼らの帰還を迎えてくれることでしょう。多分。
で、万一上記の方々以外で読んでみたいと思われた方は、作者ツイッターのDMで「パス希望」とだけ送ってくだされば折り返しお返事致します。大丈夫、本当に「パス希望」のヒトコトだけでOKです。怖くないよ、さあ。
最後にあらためて企画主であり贈り主であるぐるりちきんさんに感謝を。これからもよろしくねw
ガウワウバウ999
コミック工房製作の漫画では、自身最長となる連作「ガウワウバウ」、ついに1000回の大台まで残すところあと1回となりました。 ここまでの道は決して平坦なものではありませんでしたが、999回目を迎えられたのも、全て読んでくださった皆様のおかげです。 これからも2000回、3000回と続けられるように…はい、茶番はここまでだ。だってタイトル見て吹いたんだもん。作者さん曰く、「映画館来場特典の1000巻商法みたいなノリ」、だそうです。それって他では読めないってこと!?すごい!独占コンテンツだ!!…いやそれは申し訳ないよね。 こんな弱小零細個人HP掲載だけじゃもったいない。作者さんにお願いして、今後工房ギャラリーにも投稿してもらう予定ですのでご安心(?)を。 紹介が遅れましたが、作者様は本サイト開設のお祝い&イラストを寄稿してくださったおなじみ、AINAさんです。「おなじみっつーか、お前他に友人いないんじゃ…」って電波が頭に飛んでくるけど大丈夫。友は数じゃない。誕生日祝いの名目で漫画描いてるくれる友人、いる?ホント泣ける。 肝心の内容も素晴らしいのです。本編はもう20話も重ねつつあるというのに、マルマァクがちっとも描けていないラブコメ要素をきっちり補完していただきました。加えて、AINAさんご自身の連作「求血奇憚」シリーズの主要人物、鳥居可菜子さん(ちょっと病んでる兄貴持ち←…怒られるって)も光の友人として登場!ここに、一人でやろうと思ってもできない(笑)、別作者同士のクロスオーバーが実現。ホント泣ける(2回目)。 何よりただのお遊びではなく、三姉妹の関係性や次女の報われない乙女心を丁寧な作画とともに拾っていただけたのが嬉しいです。個人的に驚いたのは現在マルマァクが製作中の最新話と重なる部分があったことで、AINAさんの他者の作品への理解力、洞察力発揮の証左となっていると思います。 AINAさん、ありがとうございました。何かしてもらってばっかりの関係ですが、今後ともよろしくお願いします。 もう少し宣伝頑張らんとなあー。
AINAさんからのお祝いそのほか
コミック工房専用投稿サイト「工房ギャラリー」に作品を上げているうちに、他の投稿者様たちと交流する機会も増えた。諸般の事情でギャラリーは卒業した作者だが、そのうちの何人かとは、ありがたいことに今もSNSを通じて仲良くさせていただいている。 ここに置かせてもらったのはそんな友人の一人、AINAさんからいただいたサイト開設お祝いイラスト…というか、閲覧者の少なさを見かねて書かれた激励のメッセージ(笑) マルマァクがツイッターのアイコンとして使わせてもらったイラストもありますが、この場に置くのがためらわれる作品もあったりするので、それはいずれ、こっそりと更新したいと思っています(笑) AINAさんの漫画、イラストは工房ギャラリーにて掲載中。そちらも是非どうぞ。
タッコマン 誕生篇1
ヒーローもの。漫画趣味と同じくらい、特撮(怪獣や変身ヒーロー)趣味歴は長い。専門雑誌へのイラスト投稿やオリジナル怪獣漫画の同人誌制作の経験もあり、二つの趣味はむしろ不可分になっている。同ジャンルの花形はやはり映像媒体だが、その内容は破壊活動、バトルに焦点が当てられがちだ。しかし「異形」を扱った物語はもっと幅広く奥深い。漫画の神様の作り出した主人公たちは大半が怪物的な異形性を備えているが、その物語は、ラブロマンスから叙事詩まで多彩。その強さや容姿への畏れや憧れ、世間の「ヒーロー」と「怪物」へ向ける視線は紙一重ということだ。そんな風に「正義の味方」とは程遠い視点からアイディアをまとめていった結果、出来上がったウチのヒーローもお察しの問題児となった。というか、マルマァク漫画の中で最大の問題作かもしれない。ある科学者の発明した薬品が海に投げ込まれ、偶然生まれた「彼」は強大な力を備え、人類征服を夢見つつ、今日も全裸で海辺を散歩、たまにピザも食べたりするよ。その名はタッコマン。悪い奴らをやっつけろ。出掛ける前に服を着ろ。
死神刑事
刑事モノ…というより現場モノ。冒頭で事件が発生→捜査開始の幕開けはツカミとして描きやすいものの、実はその後の展開が形式ばってしまい案外盛り上がらないものだ。そこで、殺人現場に現れたとき一番「ふさわしくない」異物を投入して勝負した。劇中で人が死んでいる以上、どう取り繕っても不謹慎さは拭えない。それなら「死」を象徴する存在を前面に出して、徹底的にモチーフとして活かす。こうして死神刑事は誕生し…刑事じゃないですね、こいつ。
YMN+
YMN4
漫画にはどんな突飛な設定でも画として見せられる強みがあるが、読み手の興味を惹くにはもう一つ、別の背骨を作らなければならない。登場人物たちの、設定に対する受け止め方…動機付けだ。作者の脳内設定をいくら解説しても、キャラ表を見せても、物語を作ったことにはならない。本作では「妖怪が名簿を作る」がその設定に該当するが、読み手は次にこんな疑問を持つ。…「何のために?」 それは単純なwhyではない。「それはね、妖怪アパートの経営のために必要なことで…」なんて説明は誰も求めていない。相手が尋ねているのは物語に触れるためのスタートライン、感情移入の場所だ。そこは常に意識する必要がある。 本作ではドラマの拠り所として、人間関係の最小単位の一つ、家族・疑似家族を使った。主人と道具の主従関係、恋愛感情もそこには含まれるが、物語の着地点にしたのはもうこの世にはいない、一人の女性とその家族の結びつきである。…実はこの最終回、ネームの段階ではオモカゲを諭すのはあの世から一時的に戻ってきたイソ子本人だった。亡くなった人間に対する扱いの適当さ(というか冒涜)もさることながら、彼女が使った道具に語らせることを当初思いつかなかったのは、感情の動きばかりを追って設定をないがしろにした結果だろう。設定とドラマのバランス、両立について考えるいい機会だった。
YMN3
今作の設定には、以前から温めていた別のネタが一部流用されている。舞台は、増改築を繰り返して無秩序に拡大、さながら迷宮のように深く暗く入り組んでいて官憲の手も及ばない無法地帯と化したアパート。住民は皆、様々な事情を抱えてここに流れ着いたため、「国」の発行する正式なIDを持たない。 主人公は、移民局で働く中年男性と若い女性のコンビ。二人は住民の正確な数や暮らしぶりを調査するため、迷宮の奥へ奥へと入って行く…。一見シリアス風味ではあるが、あくまで主眼は相棒同士の軽いやり取りで、先も見えない、入り口にも戻れない、不条理コメディとして描くつもりだった。 が、作業前から舞台装置の膨大な資料が必要なことが目に見えてしまい挫折。今作のアパートの外観をベタで塗り潰しているのは、作画が大変なための苦肉の策だった。妖怪モノと合流させたので、雰囲気で誤魔化せるかな、という算段で。そして、ここまでの準備は物語上の書割に過ぎない。問題は、その場にどんな感情を乗せていくかだ。
YMN2
ただの人間にとって、妖怪の生態は想像するしかない。が、こちらの解釈は概ね某有名妖怪アニメの主題歌に依るところが大きい。お化けに通うところは無い。将来への不安も無い。自由きままで、いい加減で、人間社会の規範から外れたところに存在している…。 では、そんなアウトローでマイペースな連中が、自主的にルールを定め、規律をもって生きようとしたら。妖怪に義務感を持たせるという堅苦しさとバカバカしさは、漫画的な面白さに繋がらないか。だが説明が冗長にならず、多数登場するであろう雑多な妖怪たちを一つにまとめるルールとは。と、そこまで考えたとき、以前から温めていた別のネタが合流することになった。別のネタの詳細は次回分で書くので、今回は簡単に。「妖怪を一つにまとめる、そのこと自体を描く」…こうして妖怪マイナンバー、略してYMNの「背景」は出来た。
YMN
妖怪漫画。劇中の妖怪はすべて人の作り出した「モノ」が化けた存在で、自然現象や各地に根付く妖精・精霊の類はいない。小さい頃から化け草履や鳴釜などの付喪神、地蔵や狸の置物が公共マナーやルールを語る啓発ポスターの広告、果てはドンブリや空き缶、煙草の箱に足が生えて歩くプラモなど、道具の擬人化に惹かれていた。その嗜好が本作のキャラクター創造に反映されている。
作中の妖怪たちのネーミングは文法的な正しさに基づいてはいないが、一定のルールが存在する。オモカゲとシタタメは個人的にも気に入っている名前。共に主人の記録を記憶する役目を持っているが、その性質は先に決めた名前が強く影響しているかもしれない。
アブない!忍者ショー
お色気も含めたある種の開き直りが功を奏したのか、『忍者ギョウザ』は一部の方々にご好評をいただいた。一度ウケたと思い込んだら調子に乗るのが漫画描き。自分なりに好評の内訳を分析して、再度挑戦してみたのが今作。「正義の忍者のやることか」という指摘も受けたが、現代に生きる影の仕事人である彼・彼女は、頭目の顔の広さも手伝って善悪軽重関係なく、食べていくためにあらゆる忍務を遂行する。というか、初期設定はそれぐらいレンジを広く取っておかないと漫画はすぐに行き詰まる。ギャグ寄りの世界観は特にそう思う。 いかに合法(?)的に女性を脱がしていくか、に注力した作品。間抜けな展開とのバランスも含めて、上手くまとまった…気がする。
忍者ギョウザ
デジタル作業はアナログのそれと較べて、工程の組み立て方が格段にシンプルだ。転がる消しゴム、消耗するペン先、どこにどの程度残っているか分からないトーン、乾き待ちの原稿用紙etc…に気を取られることが無い。ゲーム機と入力ペンが一本あればよい。つまり手間が省ける=ネタ作りの時間が作れるということだ。それならば、投稿サイトの一回の上限枚数が10枚という決まりも併せて、広く浅く、色んなジャンルに手を出してみようと考えた。〇〇モノはある程度の説明を省け、枚数の節約になる…読み手に甘えることが許されるなら、との但し書き付きだが。今回の題材は忍者。仕事に関しては有能だが、どこか抜けてる夫婦の話。出先でうっかり餃子を食べたのち、公共交通機関が使い辛く、ひと気の無い道を選んで歩いて帰った実体験が元になっている。あ、裸描写あります…忍者モノなんで(ここら辺が甘え)。
もしも表紙に意味ありげに並んでるキャラたちが全員他人だったら
コミック工房2処女作、「沼サーの姫」の独特なサイズはソフトの制約による。コマ割りのために数種類のテンプレートが用意されているが、それは任意ではなく強制に近い。詳細は省くが、用紙をただの白紙として自由に使うことができないのだ。ただでさえやることの多い漫画作業、フォーマットはできるだけシンプルであって欲しい(ペンと紙があればよい)身として正直これは参った。そこで一枚絵の描けるイラストサイズを使い、拡大必須の無駄に大きい用紙の中で描いていかざるを得なくなった。その結果、少なくない方々に「こういうのアリなんだ(その意味するところは様々だろうが)」的反応をいただいた。いえ、わざとじゃないんです。ソフトが使いこなせなくて仕方なくこうなったんです。加えて、初投稿時に枚数の上限まであることを知って(しかも10枚という謎の数字。漫画描いてる人の発想じゃない気がする)、今後のモチベーションが下がっていく一方であったのも事実。が、その時点で世に出て数年が経過したソフト。すでに悪戦苦闘しつつ使いこなしてきた先輩ユーザー諸氏の持ち寄られた知が、様々な局面に対応できるように用意されていた。こちらの疑問質問にもその場で助言をいただき、今現在までこうして作品を描き続けることができている。願わくば大元の発案者の方にも一度ご挨拶をしたいとずっと思っていたが、その後のあの場での様々なやり取り、反応の中、これ以上どなたかに自分から関わっていくのをやめようという思いを日々募らせていき、その総合的、最終的な判断がここ、自サイトへの離脱となった。 内容について言うことは特に無い。ただ、この漫画が成り立った経緯と結果を偶に思い出し、不思議な気分になるだけだ。
ローカルTV・春
休みの日にふと思いついて、半日程度で描いた作品。沼サーの姫が完成したのが春先。その直後なので、解放感と疲労感が混ざったおかしなテンションになっている。こんなネタでも一旦ネームに起こさないと形にできないので、本作も同様の手順を踏んでいる。短編でも長編でも大事なのはキャラクター同士の人間関係。お互いがお互いをどう思っているかを押さえれば、話は大体勝手に転がる。だから、基本的に単体で「ウチの子」は作らない。別の「子」を並べたとき必ず化学反応が起き、自分の思い通りにならないからだ。そして、それが漫画制作の面白いところでもある。
キノコの村
5月、GW向けのネタを工房ギャラリーに投稿したくて即興でネームを切った作品。というのも、描き出したのが連休当日三日前で無理やり完成させたから。…実際のところ、これぐらいの飛ばし描きでも漫画として成立するのが少々複雑。 仕上げの大切さを肝に銘じる。例え自己満足の趣味の産物であっても。 一見クマだがあくまで「ドーブツ族」という、投げやりに描かれた森の生き物は、ラフ作業の副産物として好みの出来。
誕生日ケーキと歩道橋
漫画作業を始めるとき、キャラクターより先に情景が浮かぶことがある。それは夕景の中に立つビル群のシルエットであったり、雨がやまない過疎の駅舎であったり。そこを起点に人を配置していく。一般的なやり方ではないし、人間のドラマを見せる媒体でその発想法はハッキリ悪手だと思う。が、純粋に技術的・作画的な面での壁として捉え、一度描いてみたかった、描いておいてしまいたかった、それが本作の歩道橋だった。ありませんか、そういうの。
普段歩く場所を見下ろし、周囲の景色を一変させる高さ。加えて「あちら」と「こちら」を行き来するための橋・・・そんな用途が脳に作用したのか、特に考えも無しに切り出したネームの中で、その場所に立っていたのは、生きているのか死んでいるのか判然としない一人の女だった。それに伴い自分の中の発想法の引き出しの一つ、「反、あるいは対」を意識した「誕生日」なるワードが出てきた。
もう一方の登場人物の男には名前が無い。曖昧でいい加減、掴みどころのない存在の女に、具体的な設定の相棒は必要無いだろう…とこのときは思っていたのだが。
石化回廊プラス
難産だったシリーズのお疲れ打ち上げ漫画。完結時期に重なったハロウィンも入れて構成。とは言え、こちらの世界から眺めれば普段からコスプレしているような連中だ。打ち上げという背景も合わせれば、仮装の選択肢は自然と絞られる。そして、物語が閉じてしまえばキャラに敵も味方も無い。魔女も復活。めでたしめでたし。
石化回廊 逆襲篇
前作をまとめるとき頭にあったのはホラー寄りのオムニバス、例えば「世にも奇妙な物語」テイストなバッドエンドだった。が、物語を頭で組み立て転がすとき、大抵は整備されたような一本道ではない、他の可能性も検討しながらの作業になる。一度落ちた話を、反転させて救う話に持っていくことは可能か?…その時点で上手く回収できるか分からなかったが、前作の中にそのための前準備としてアイテムやキャラクターを配置しておいた。「前作に登場した被害者を全て助ける」というテーマに挑戦するために。その結果、人や話の流れがぎこちなくなってしまい、力技でねじ伏せた部分も多々あるが、逆襲編は完成した。
前作が石化解除の瞬間を描いたオチであることの対になるように、本作は石化する瞬間をクライマックスに持ってきている。
ストーリーラインに無理はあるが、最低限度のパッケージング、着地は出来たかと思う。多数のキャラクターをパズルのように当て嵌めていく作業に脳がオーバーヒートを起こしそうになり、やけにやりきった感のある作業だった。
が、この作品には個人的に無視できない引っ掛かりがある。それは別頁で。
石化回廊
密室劇。ゲームでおなじみの中世的ファンタジー世界に寄りかかっているが、短いページの中で表現するための方便。
現実世界を舞台にして一人のサラリーマンが迷宮ゲームに迷い込む…的な導入でも成立するが説明が冗長になりそうだったのでこのカタチに落ち着いた。結果的に、死と暴力が隣り合わせの「剣と魔法の世界」にしたことでラストの後味の悪さも緩和された、気がする。
「石化」という現象にはオチがない。石にされた時点で被害者の時間は止まる。では、石にされた状態から始まった物語はどうか。そして、何らかの方法で再び彼・彼女の時間が動き出したとき、一番驚くのはどんな展開か…その答えが浮かんだ時、ストーリーは完成した。
石化を解く水薬のマークはラッパのマーク。触れて。誰か。